業務上のミスをしてしまった場合
仕事をしていると、自分の判断ミスで会社に損害を与えてしまうこともありえます。
会社からその損害全部を補填するよう要求される場合もあります。
そんなときにも、焦らず自分にどのような法的な責任があるか判断しなければなりません。
1 会社に対する責任が発生するか
従業員が、会社の業務を行うにあたって、適切にそれを行い会社に損害を発生させないという義務を負っています。
したがって、従業員が会社に損害を与えたらその従業員は損害を賠償するという義務を負います。
ただし、会社も従業員の行為で利益を受けているのですから、従業員が起こしたミスを全て従業員のせいにすることはできません。
法律上は、従業員がミスをおかすことについて「重大な過失」があったかどうかで判断します。
すこし注意すればミスを防げた様な場合には従業員に「重大な過失」があったとされ、損害賠償の義務を負うことになるでしょう。
2 損害のすべてを賠償しなくてはいけないか
そうであるとしても、発生した損害についてどこまでその従業員が責任を負わなければならないかは別の問題です。
法律上は損害が発生したとしても、従業員はその2分の1から4分の1の責任しかないと判断される場合が多いと言えます。
その程度は、ミスの内容によりかわってきます。
例えば、居眠りをしていて工作機械を破壊してしまったなど、簡単に防げるようなミスで損害を与えてしまった場合、その責任は重くなると言えるでしょう。
3 ミスをしたらどのように対処すべきか
ミスをしてしまった場合には、それが自分のミスであることが明かな場合にはやはり謝罪することが不可欠です。
ただし、そのことと損害全部について賠償をしなければいけないかどうかは全く別の問題です。
自分の非は認めた上で、賠償義務の範囲内で会社と話し合いを行い、支払をする金額を協議しましょう。
ミスをした直後などに、損害を賠償する旨の念書を作成するよういわれることがありますが、謝罪と賠償額は別であり、そのような念書を提出してはいけません。
どうしても話し合いが出来ない場合には、民事調停などを申し立てたり、会社が損害賠償の裁判を起こしてくるのをまち、裁判所の関与の下で損害額を確定させるようにします。